2015年01月28日更新
『おはよう、今日も頑張ってね』とアパートの前にいて毎日掃除をし、毎日挨拶をしてくれるおばちゃん、その正体とは
私が大学生の頃住んでいたアパートの話です。毎日アパートの前におばちゃんがいました。 そのおばちゃんは毎朝掃除をしている、毎朝「おはよう、今日も頑張ってね」と言ってくれる。そして差し入れをくれる。なぜ、そんなことしていたのか。 そのおばちゃんの正体とは。ずっと気になっていました。 見た目はめっちゃいいおばちゃん 推定50-60歳 身長は低い なぜかあだ名で呼ぶ(どこで仕入れたかは未だに不明笑) こんな特徴のあるおばちゃんでした。なぜか私の名前を知っているというのが記憶に残っている。 その時は気に留めなかった。。。。
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毎朝の『おはよう、今日も頑張ってね』
その謎のおばちゃんはいつも「おはよう、今日も頑張ってね」と言ってくれる。寝起きながら声が出ない私も頑張って挨拶する。これでその日初めて発声するのだ。「風邪ひいたー?」「今日元気そうねー」と体調管理もしてくれていたのかもしれない。今思うと毎朝挨拶をして見送ってくれる人なんてそういない。しかも寒い日も暑い日もしっかり掃除をしていた。偉すぎると思っていた。
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月に一回の『野菜食べるー?』
いつもなんかくれた。一番多いのは野菜。野菜を育てているらしい。けっこううまい。でも形は悪くて本当に作ってるんだなってリアルに思った記憶がある。なんだか、田舎を思い出す。でもあんまり料理しなかったので漬物が一番嬉しかった。近所の優しいおばちゃんと確信していた。
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退去の時『頑張ってね』
就職で引越しをする際に差し入れをした。「頑張ってね」との一言だったけど嬉しかった。なんか感慨深い。なんだろう見知らぬおばさんでも毎日顔合わせると違った感覚になる。一応4年間見守ってもらったという感謝がもの凄くある。
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年賀状『元気そうで何よりですね』
引っ越してから年賀状を送ってみた。携帯は知っていたけれどちゃんとしたかったので住所を聞いて学生時代書く事もなかった年賀状にしてみた。もう去ってから10ヶ月ほどたつけど。。返事がきた。「元気そうで何よりですね」と。それから年賀状は出す事はなくなったけど(なんか毎年出すのもなって思って)。
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挨拶と差し入れの理由
実は後々不動産会社に聞いたところあのおばちゃんは2−3棟程もっている地主。実は大家さんだった。みんなにちゃんと挨拶、差し入れをしていた模様。大家さんなのになんでそんなことするんですか?と聞いたら
『二つある、1つは入居者の管理、もう1つは初めてのお客さんが関係してるみたいだよ』
一つ目の管理は毎日顔合わせて入居者の状況を把握し、何かあった場合に困らないようにしていた模様。(未収・夜逃げ等々のリスクヘッジも兼ねてたと)なんか校長先生が校門にたって子供達の顔色や異変に気づくみたいな気がしたけど、やり方がなんか温かい。
二つ目は、おばちゃんのアパートに初めて入居した人が突然いなくなったらしい。おばちゃんはもの凄くショックだった様。単純に夜逃げだけではなく、『自分にもっとできなかったのか』『衣食住の家を貸す立場なのになぜ』と悔やんだと聞いた。
なんか複雑な気分だけど、実はただのおばちゃんは大家さんだった。おばちゃんなりの入居者への心遣いなんだろうなと思ったら切なさも少しあるが温かさ、優しさもそれ以上に感じた。
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